俺たちの仲直り


「おい、生きてるか?」

「死んでるように見えるのか…?」


突然空から降ってきた声の持ち主は
暑い太陽の紫外線をさえぎって
俺に影を落とした


「死にたそうな顔はしてるな」

「そりゃぁ的確なお言葉」


その台詞に小さく笑ったこいつは
俺の側に寝転んだ


「まだ好きなわけ?」


知ってて聞くこいつは
ホントに性格が悪いと思う


「まぁねー…」


誰をとは聞かなかった
その台詞に当てはまる人物は
世界で一人だからだ


「いい加減忘れろ。アレは俺のだ」

「わかってるっつーの」

「それに戻りたいんだけど」

「何が」

「お前と友達に」


世界がざわついて
風が吹いた

上を見上げると
空が雲を泳がせている
紫外線をさえぎるものがないせいで
この場所は少し眩しい
目が涙目になってるのは
きっとそのせいだ


「泣くなって」

「泣いてねーよ」


苦しかった
結局、あいつのコトも
こいつのコトも
俺は大好きだから苦しかった

人との関係なんて
そんなに簡単に変わらない
変えられない

だからこそ
今まで抜け出せずにいたこの苦しさが
こいつの言葉で終わった気がした


「んでお前は?」

「そうだな…今は無理だ。けど…」

「けど?」

「俺も戻りたいかな、友達」


そう言った俺を見て
嬉しそうな顔で笑ったこいつを見て
見失っていた日常が
戻ってきた気がした


「俺、先に戻ってるから」


そういって立ち上がると


「俺さー…」


そういって顔だけを俺に向けたあいつは
俺を呼び止めた


「何だよ」


そういえばドラマじゃ
だいたいこういうときに
名台詞が聞けるんだっけ
そんなことを思いながらドアに手をかけると
あいつは


「俺、チンギスハーンのこと
 ジンギスカーンだと思ってた」


と言った


「…」


あぁ、そうだ
コイツはこういう奴だった


「知るか!」


そういってドアを勢い良く閉めた
そうすることで
不覚にも笑いそうになった自分を隠した

事態は俺が思っていたより
そう深刻でもなかったらしい

あまりにも俺たちらしい
くだらない会話の中に
俺は俺の欲しいものを見つけた 
 
 
 



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一部ノンフィクションです(笑