昼に起きている人間は
ココには居ない
夜に起きている人間は
もっと明るい場所へ
どの場所にも居れない俺は
この場所に取り残されたまま
ただ何かを思い出したかった
思い出す
いつも人通りの多いこの道も
今じゃ誰も歩いていない
その理由は酷く簡単で
今が午前三時二十分だからだ
「何やってんだ」
なのにこんな夜遅くに
なんでお前は
俺に声なんてかけるの
「何やってると思う?」
そういって振り向いたら
やっぱりあいつは
困った顔をしていた
「分からないから聞いてるんだろ」
「散歩」
夜が音を吸い取っていく
コンクリートに響く俺の声が
いつもより大きくて
俺は少しだけ不安になる
この場所には
明るい太陽も
明るい人口ライトもない
俺を隠すものが
何もない
だから
今の俺は
いつもの俺を
演じきれない
「なんかあったのか?」
そういって
お前はまた一歩
俺に近づく
「特に何も」
だから俺は
また一歩後ずさるんだ
「バイオリズム的なものが
下がってるだけだよ」
見られなくない
見せたくない
きっと今の俺は弱くて
卑屈で黒い部分しか残ってない
「いつも元気でオチャメな俺の意外な一面でしょ?」
「アホか。つき合わされる俺の身にもなれ」
「じゃ付き合わなきゃいいのに」
そういって笑ってみた
うまく笑えている自信はない
「そうもいかないだろ」
「何で?」
「なんでって…」
俺を抱えきれないのに
俺に近づかないで
そう思うのに
「友達だからだろ」
思い出してしまった
「あぁ…」
「あぁってお前な」
「そういえば俺達友達だったっけ」
「お前なぁ…、寂しいこと言うなよ」
そういって笑った顔が
笑っているはずなのに寂しそうで
「ねぇ…」
俺はよく大切なものを見失う
だからさ
「また迎えに来てよ」
お前と居ると
思い出せるから
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忘れ物は
届けにきてくれないと
見つからない俺です。