放課後の教室
放課後の教室
外では雨が降って世界はモノクロ
窓ガラスに触れると
触れた場所から冷たい何かが
体を覆っていく感触がした
「ここから飛び降りたら死ぬよな」
「なにそれ、死にたいわけ?」
「別に、ただ何もかも面倒になった」
「ふーん、不道徳だね」
死んでしまえば楽になる
まぁ、そう思ったって
本当に飛び降りるわけじゃない
自殺するほど追い詰められてるわけでもないし
不幸のどん底にいるわけでもない
ただプレッシャーに押しつぶされて
呼吸の仕方が分からなくなっただけで
「ためしに死んでみたら?」
「俺に死んで欲しいのかよ?」
「あはは、何その顔。嘘に決まってんじゃん」
真実はどっちでしょう?
そう言ってお前は笑う
そういう軽い所が俺は好きだけどね
「・・・試しに死んでって言ってみろよ」
「なにそれ」
もしお前が死んでってヒトコト言えば
今の俺は何の躊躇もなく死ねると思う
そう、ただヒトコト…きっかけがあれば
「うーん、ヤダ。言わない」
「なんで?」
「言ったら死んじゃうでしょ?そんなの淋しくなるから、いーや」
うわぁ、
なんのひねりもない台詞
だけどその言葉に嬉しくなったのは
きっとこいつが特別だから
「・・・帰えるか」
「そうだねぇ、そろそろ帰ろっか」
外に出ると雨が止んでいた
そのせいか空気が冷えている
「君は心のビョーキなの?」
「はぁ?俺、そんなに病んでるように見えるか?」
「まぁねー、かなり見えるよ?まぁどっちでもいいや」
「そうかよ。おら、行くぞ」
「はぁーいよっと」
お前がいるだけで
ただ苦しいだけの世界が色を変える
お前のヒトコトで
いつも俺は救われるんだ
もう少しこのままでいいかな
自分から終わらせることなどいつでもできるんだから