来年の花火もきっと
火が空へ舞って花を描いた
凄く綺麗で凄く眩しくて
そして散っていった
たったそれだけのコトなのに
なぜかとても切なくて
俺は意味も分からないまま
泣いてしまった
悲しかったわけじゃない
ただ突然
全部終わってしまうんだと思うと
胸が苦しくて泣けてしまった
「どうした」
「わかんない・・・」
「大丈夫か?」
「平気・・・」
「どうした?」
俺は話してしまいたい
でないと穴が開きそうな胸の痛みに
潰れてしまいそうだ
だから、聞いて欲しい
「・・・俺さ、学校って楽しかったんだ」
俺は学校か好きだった
俺の居場所があって
欲しいもの全部が手に入って
すごく居心地のいい場所だったんだ
なのにもう・・・
「なのに俺たち、後半年もすれば卒業だ」
当たり前のコトだ
誰もが迎える行事なんだから
てか今は別に卒業式でも
悲しい場面でもないのに
涙が止まらなくなったのは何故だろう
今までの記憶が全部溢れてきて
俺の喉を圧迫して息がうまくつげなくなった
「大丈夫か?」
「どうだろう・・・」
泣いた顔なんて見られたくなかったのに
弱いとこなんて見せたくなかったのに
もう止まんなくなってた
コイツが優しいせいで
「寂しいんだよ、全部終わるのが!」
どうしたらいいのか分からなかった
この苦しさを取り払うには
俺はどうしたらいいのかが
わからなかった
だから叫ぶことしか出来ずに
こいつが困ってるかもしれないのに
泣き喚いてた
「会えなくなっちゃうんじゃないかとか・・・」
「うん」
「お前等とやりたいコトとか
まだまだすっげーいっぱいあるんだよ!!」
「うん」
「なのに、なんで終わんなきゃいけないんだよ・・・」
何で、
終わっちゃうんだよ・・・
「終わらないだろ」
「・・・は?」
何言ってんのお前?
終わるから俺はこんなに苦しんでるのに
そう言おうしたけど
言えなかった
「・・・終わるだろ」
「終わらないだろ」
「・・・終わるよ」
「なんで?」
「・・・」
「同じ時間を過ごせなくたって、
俺たちは何も変わらないだろ」
「どういう意味だ」
「寂しがる理由なんて無いだろ。
進むだけで、何かが壊れるわけじゃない」
「・・・」
「何も終わらない、進むだけ。
ゲームでダンジョンが変わるのと一緒だ」
「・・・」
「次のレベルアップのために次のステップへ行くんだろ?
お前も、俺たちも」
なんだよそれ
カッコイイコト言っちゃって
でもその言葉のおかげで
何かトゲが取れた気がした
「だけど、やっぱり寂しいなぁ」
「そんだけ言ってやっぱり寂しいのかよ」
「そりゃな、制服がもう着れない」
「いや、別に着れるだろ」
「学生終わったのに着たらサムイだろ」
「お前なら平気だろ?」
「あはは、何だソレ」
俺たちに残された時間は
残りわずかだと思ってた
だけど違った
花火はどうせ散っても
来年の同じ頃にはまた舞うんだ
景色が少し違うだけで
何も変わらず
凄く綺麗で凄く眩しくて
どうせ散っても
また咲く事を繰り返していくんだ
「なんだ、寂しくないじゃん・・・」
来年もまたココへ来れば
この花火をこいつ等と見られる
そう思ったら
涙はもう止まってた
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この詩小説は
高三の夏に書いたモノです。